ファイナンシャルプランナーの高原です。
皆さん「FIRE」って聞いたことありますか?
いろんな方に聞くと、こんな回答が多かったです。
「火のことでしょ?それがどうしたの?」
「そういえばこの間の相◯食堂に大◯田厚が出ててね・・・」
こちらの予測した回答はほぼ帰ってきませんでした(笑)
一応今話題の考え方だそうです。
若い方はこれを目指すために投資をしたり、
家計を徹底的に削減したりしているみたいですね。
本も結構たくさん出ていますので、
興味がある方も興味がない方も
一般常識程度に知っておくべきだと思います。
ということで本日は
「FIRE」とはどういうことなのか?
どうすれば「FIRE」できるのか?
FP高原の「FIRE」についての考え
これらについて書いていこうと思います。
「FIRE」とはそもそもどういうこと?
「FIRE」とは、4つの英単語の頭文字です。
Financial
Independent
Retire
Early
これら4つの頭文字を取って「FIRE」といいます。
日本語に訳すと「経済的な独立と早期退職」というようになります。
もともとこの考え方はアメリカから始まったそうです。
2010年代よりブログやポッドキャストなどを通じて
いわゆる「ミレニアル世代」から広まった考え方だと言われております。
ちなみに「2000年頃に社会に進出する世代」のことを「ミレニアル世代」と呼ぶようなので
1982年生まれの私も一応「ミレニアル世代」になるようです。
ただこれだけだと、
「不労所得で暮らそうなんて前から金持ちが言っていたことじゃん」
という声も出てきますよね。
実は、それらと「FIRE」とは決定的に違うことがあるんです。
普通のサラリーマン世帯でも実現可能!
これまで「不労所得で暮らす」というスタイルは
一部の資産家や実業家の特権のように思われてきました。
この「FIRE」ムーブメントは
普通のサラリーマン世帯が不労所得で早期退職を実現した
この事によって大きな支持を獲得しました。
「好きなことをして生きていく」生活スタイルは
誰しも憧れたことがあると思います。
これまでそれは一部の特権階級のもののように思われてきました。
この「FIRE」ムーブメントはその固定概念をくつがえし、
自分でもできるかも!
という共感を生み出したことで大きく広がったのだと考えられます。
では具体的にどのようにして「FIRE」するのでしょうか?
どうすれば「FIRE」できるの?
例えば今20歳の人がいたとして、
40歳でのFIREを目指すとします。
こんな場合、どういったことを考える必要があるのでしょうか?
「FIRE」を目指すときの具体的な方法について
ここでは考えてみます。
1.4%ルール
まず考えるのは「4%ルール」です。
これは「支出の額を資産の4%におさえる」というルールです。
言い換えると、「支出の25倍の資産を準備する」ことが
FIREをする上での目標ということになります。
総務省の家計調査を見てみると、支出についてこんな風に書いてあります。
消費支出(総世帯)は, 1世帯当たり 233,568円
前年比 実質 6.5%の減少 名目 6.5%の減少消費支出(二人以上の世帯)は, 1世帯当たり 277,926円
前年比 実質 5.3%の減少 名目 5.3%の減少
総務省 家計調査 2020年より抜粋
間をとって「支出平均は25万円/月」とすると、
25万円 ✕ 12ヶ月 ✕ 25 = 7500万円
これで目標ができました。
40歳でFIREするためには、まずは20年で7500万円の資産づくりが必要
まずはここがスタートラインです。
2.資産配分
次のステップは、
どのような資産配分で運用すればよいか
になります。
実はこれがなかなか難しいです。
というのも、
「資産を作る期間」と「資産を維持する期間」でも資産配分は違いますし、資産を作る期間の中でも変える必要があります。
本を読んでみてもいろいろな意見があります。
個人的には、
・資産形成期間は基本株式で。積立運用になるはずなので最初はリスク高めで行こう!
・ある程度の期間になってきたら債券に移そう。最終的には株:債券=6:4くらいかな。
ざっくりいうとこんなふうにアドバイスすると思います。
詳細な中身など聞きたい方は個別相談を受けてください。
ここで意識しなければならないのは、
「資産寿命は何年必要なのか」です。
つまり「FIRE後、その資産で何年生活できればいいのか」ということです。
ここは厚生労働省の「2020年 簡易生命表」を使います。
仮に40歳でFIREする場合、
男性の平均余命は42.35年
女性の平均余命は48.11年
つまりその資産で40年以上暮らさなければならないということです。
ここも計算してみると、
FIRE後も4%で運用できれば、毎年375万ずつ使うことが可能です。
FIRE後2%でしか運用できなければ毎年262万しか使うことができません。
ここも4%ルールが生きてきますね。
資産形成期に支出目安額の25倍の資産を作り、リタイア後も4%の運用を目標とする
この基準がFIREを達成するために必要な基準となります。
個人的な「FIRE」についての意見「やめたほうがいい」
さて、ここまでかいてきて、
「なんとなくFIREできるんじゃないかな」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
でも、現実はそんなに甘くないです。
私個人としてはこんなの目指さないほうがいいと思います。
理由は2つです。
1.異常な貯蓄率を20年続ける必要がある
「20歳から資産形成を初めて40歳でFIREする」パターンで考えます。
20年で7500万を貯めるためにはどんなことをすればいいでしょうか?
仮に年率5%で運用できたとして、月々19万円が必要です。
はっきり言って現実的ではないです。
我々が老後の生活資金準備として資産形成を提案する場合、
収入の10%~20%位を目安としてお伝えします。
それでも大変な人が多い中、こんな異常な金額を20年続けられるでしょうか??
これが1つ目の問題点です。
2.FIREのあとになにがありますか?
多くの方が「今後自分はどの様になりたいのか」が不明確です。
それが明確でない中で、
「なんとなく仕事をずっと続けるのが嫌だから」という理由で
取り組んだところでうまく行かないのは目に見えています。
「自分はこうなりたいから仕事は◯歳までにリタイアして、残りの人生を精一杯生きるんだ!」
という強い意志がないとFIREできないでしょうし、する意味もないと思っています。
まずはライフプランなどを作る中で自分がどうなりたいのかを明確にして、
その上で必要なお金を投資で作っていくというスタンスが一番です。
また、
どうしてもFIREしてみたい!
という方については、誰かちゃんとしたサポート役をつくることをおすすめします。
まとめ
少し長くなりましたが「FIRE」についてまとめてみました。
・普通の人でも経済的独立を手に入れるのが「FIRE」
・支出の25倍の資産を作り、リタイア後は4%の運用を続けるのが目安
・非常に強い意志と明確な目標がないとまず継続できない
これらを踏まえた上でチャレンジしてくださいね。
資産形成の考え方自体は納得できるのですが、
異常な貯蓄率というのがネックになりますね・・・。
今日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。