ファイナンシャルプランナー高原です。
前回のブログの中で、「長期金利」の話をしました。
ところで「長期金利」ってなんなんでしょうか?
意外と自分の周りの人も知らないことに気づきました。
「そもそも長期金利ってなんだろう?」
「長期金利ってどうやったら上がってどうやったら下がるんだろう?」
「上がることはいいこと?悪いこと?」
このあたりを一度まとめてみようと思います。
分かりづらいところなどありましたらご意見ください。
それでは始めます!
長期金利とは?
長期金利については、こんな説明がなされています。
長期金利とは、金融機関が1年以上のお金を貸し出す際に適用する金利のことです。
短期金利は日本銀行の金融政策などによって決まりますが、長期金利は、主に長期資金の需給関係によって決まるもので、物価の変動、短期金利の推移(金融政策)などの長期的な予想で変動します。
「SMBC日興証券ホームページより引用」
まさにこのとおりです。
ただニュースで言われている「長期金利」については、
一般的に10年国債の金利のことを指しますので、
「長期金利=10年国債の金利」という認識でいいと思います。
短期金利との違い
金利にはもう一種類、「短期金利」というものもあります。
先程の説明から考えると、
短期金利は「期間が1年以内の金利」のことを指します。
ちなみに昨今、
「日銀がゼロ金利政策を導入」というようなニュースが有りました。
ここで言う「金利」は「短期金利」のことです。
つまり、日銀は期間1年以内の金利をゼロに操作するような政策をとったということです。
ここがごちゃごちゃになってしまうと、
「なんでゼロ金利なのに日本の長期金利はプラスなんだ!」と勘違いすることになります。
気をつけましょうね。
短期金利は日銀が操作できますが、長期金利は操作できません。
先程の解説にあったように、「長期の資金需要」「短期金利政策」などで決まります。
直近は長期金利は上昇傾向にあります。
では、なぜ上昇しているのでしょう?
なんで上がるのか?
本日(2021年3月1日)時点で、長期金利は0.150%です。
2020年3月1日の長期金利は-0.145%なので、随分上がっていますね。
ではなぜ上がったのかについて考えてみます。
国債が買われないと上がる
先程お伝えしたように、「長期金利は10年国債の金利」のことを指します。
「国債」とは何かというと、簡単に言えば国の借金です。
国が10年後に返す必要がある借金のことを「10年国債」と呼びます。
ここでちょっと考えてみてください。
誰かからお金を借りる時って、「3つのこと」を決めますよね。
「いくら借りるのか(金額)」
「どのくらいの期間借りるのか(期間)」
「いくらにして返すのか(金利)」
この3つです。
さて、ここからが金利が上がるメカニズムです。
もしあなたが「100万円を10年間1%の金利」で借りたいとします。
ただ誰もお金を貸してくれません。
でもどうしても100万円のお金が必要です・・・・。
そんな時あなたはどうしますか???
はい。
そうですよね。
金利を上げるしかないですよね。
これが金利が上がるメカニズムです。
要するにこういうことです。
①景気がよくなる気配がある
②景気がよくなると企業業績が上がり株も上がる予測ができる
③そうなると「帰ってくるお金が決まっている国債」より
「大きく成長する期待ができる株式」を買う。
④結果誰も国債を買ってくれないから金利が上がる
だから「長期金利=景気の体温計」なんて言われるわけですね。
逆言えば、景気が悪くなる雰囲気になれば
株ではなく国債が買われるので、金利は下がります。
上がるのはいいこと?悪いこと?
ここまで長期金利の説明と、上昇のメカニズムをお話しました。
直近はにほんはもちろん、アメリカの長期金利も急上昇しています。
では、金利の上昇はいいことなのでしょうか?
それとも、悪いことなんでしょうか?
上昇は景気好調のバロメータ
長期金利には「景気好調のバロメータ」の役割があります。
長期金利が上昇するということは、
景気がよくなるだろうと多くの人が思っているということです。
特に昨今の長期金利の急上昇は、コロナウイルスの影響があります。
昨年からコロナウイルスの影響で世界的に景気が大きく落ち込みました。
日本の金利上昇のきっかけとなったのは、アメリカの長期金利の上昇です。
アメリカの金利は2つの要因を受けて急上昇しました。
①ワクチンの効果が現れており、死者数も少なくなっていること
②バイデン大統領が大規模な景気対策を打ち出していること
これらにより景気が急速に回復する期待感が高まり、金利の急上昇を招きました。
それに誘導され日本の長期金利も上がっていきました。
このように「景気回復の期待感が高まっている」という意味では上昇はいいことですね。
上がりすぎると株は下がる?
ただ、1つ注意しなければならないこともあります。
それは「長期金利が上昇しすぎると株価は下がる」ということです。
どういうことなんでしょうか?
ほとんどの会社は、銀行から借り入れをして企業活動を行っています。
長期金利が高まると、借りているお金の金利も上がります。
つまり利益がその分圧迫されるんです。
わかりやすく言うと、
1年お金を借りるときの金利が1%だとしたら、
100万円借りても1年後に101万円返済すれば大丈夫です。
ですが金利が2%に上がった場合、
100万円を借りた場合1年後に102万円返済しなければいけません。
借入金が1億円だったとしたら返済額は100万円も違ってきます。
これが金利が上昇し続けることはない理由です。
難しい話をなしにしますが、
金利が1%上がった場合、その会社の利益が1%以上上がる見込みがないと
株価は下がります。
上手くバランスが取れていますね。
アメリカの長期金利も急上昇したあと下げました。
その時同時に株価も下がりました。
裏にはこういった理由があったわけです。
長期金利の上昇も下落も、どちらがよくてどちらがいいというわけではありません。
バランスが大切ということですね。
まとめ
今回は長期金利についてお伝えしました。
①長期金利は「10年国債の金利」のこと
②国債を買う人が多ければ金利は下がり、少なければ金利が上がる
③「景気回復のバロメータ」「景気の体温計」としての役割がある。
理解できるまでは難しい言葉ですが、
一度理解できると世界経済の動きを捉えるのが楽しくなります。
ぜひ学んでみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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